研究紹介 SMP30の機能解明
老化とビタミンC
シトルリン化分子と老年病態
SMP30(加齢指標たんぱく質30)は、加齢に伴って著しく減少するたんぱく質としてラットの肝臓から発見しました(図1)。 加齢変化を示すたんぱく質の多くは、ホルモンによる影響を受けているため、雌雄で異なる増減傾向を示します。 しかし、SMP30はホルモンによる影響を受けず、雌雄共に加齢に伴って減少するのが特徴です。 また、SMP30は肝臓以外にも腎臓や肺で、同様に加齢に伴い減少しますが、その減少パターンは、臓器により異なっています。
SMP30の遺伝子は、性染色体であるX染色体のほぼ中央に位置しています。 男性では性染色体の組み合わせがXY、女性ではXXですから、 もしSMP30遺伝子の欠損疾患が生じるとすれば確率的に男性の方が多い筈です。 私たちは、SMP30が女性の長寿の一因になっているかもしれないとも考えています。 今までにヒトをはじめ多くの高等生物でもSMP30遺伝子が同定されています。 最近では、酵母、枯草菌など、原始的な生物でもSMP30とよく似た遺伝子が同定されていることから、 古代から生命維持に重要な役割を担っていたことが想像されます。